RAID1、RAID5およびRAID6に関するよくある誤解と固定観念

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RAID1。2台から構成できるRAIDです。通称ミラーリングです。


2台から?そうです。RAID1は3台以上で構成することもできます。
RAID5。通常は4台で構成されますが、実は3台でも構成できます。

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誤解1:RAID1を構成できるのは2台だけ

一般的には、RAID1を構成できるのは2台であり、容量は「半分」になると説明がなされていますが、これは厳密には誤りです。
なぜなら、RAID1は3台以上での構成も可能だからです。

では、3台以上でRAID1を構成すると何が起きるか。同じディスクのミラーが3つできます
この場合の耐障害性としては、2台までの故障に耐えられます。従って、RAID1では台数を増やすほど耐障害性が高くなります。
同様に、4台に増やすと3台までの故障に耐えられます。分身が1つでも残っていれば復旧できるためです。
一方で、利用できる容量はいくら台数を増やしても1台分になります。容量の異なるディスクを使用して構成した場合、最も容量の小さいディスクに切り詰められ、余った容量は使用できません。

RAID1で使用可能な容量は、最も小さい容量のディスクを基準として、1/n(nはHDDの台数)となります。

2台の同容量のディスクで構成した場合は、確かに容量が「半分」になるのですが、そうでないケースでは「半分」になるとは限りません。

なぜ3台以上でのRAID1が使われないのかといいますと、単純にコストの問題です。ディスクだけを三重化しても、RAIDコントローラーやその他のコンポーネントが故障した場合は障害に巻き込まれます。
また、ディスクを三重化すると、単純にコストが3倍になります。3倍のコストをかけてまでディスクだけを三重化するかというと、頭を悩ませるところです。

実用的には上記のような問題があるため使われることは少ないですが、やろうと思えば上記のような構成も技術的には可能です。

誤解2:RAID1で耐えられる故障は1台だけ

先ほどのセクションでほとんど説明してしまいましたが、これも厳密には誤りです。2台構成であれば、確かに1台までの故障にしか耐えられません。
では、3台で構成したらどうなるか。2台まで耐えられます。同様に、n台で構成したRAID1アレイはn-1台の故障まで耐えられます。
耐障害性としてはRAID1が最強なのですが、容量効率が良くないためここまでして使われることはほとんどありません。

誤解3:RAID5は4台が必要

3台構成のNASがあまり発売されていない、奇数台構成があまり浸透していないというのが根底にあるかと思いますが、RAID5は4台で構成されることが多いです。
しかし、RAID5は3台構成から行うことが可能です。3台構成とした場合、容量効率は最も容量の小さいディスクを基準として2/3となります。

後述しますが、耐障害性は4台構成のRAID5より3台構成のRAID5のほうが高くなります

誤解4:RAID5/6は台数を増やすほど耐障害性が上がる

こちらも良くありがちな誤解であり、場合によっては数十台にも及ぶRAID5およびRAID6アレイを構成している事例もあります。こういった構成は非常に危険であるため、直ちにやめていただきたいものです。
RAID5は1台、RAID6は2台までの故障に耐えられますが、これはいくらディスクの台数を増やしても変わりません。容量効率は確かに上がりますが、耐久性が下がります。
なぜ耐久性が下がるか。100台のディスクのうち2台が壊れる可能性と、5台のディスクのうち2台が壊れる可能性を比べてみてください。結果は一目瞭然かと思います。

RAID5及びRAID6を構成する場合は、最低台数(RAID5において3台、RAID6において4台)で構成を行うことが耐障害性の面から考えると最良となります。

RAID5/6がデグレードすると

RAID5もしくはRAID6を構成しているディスクが故障すると、デグレードモード(縮退運転)に入ります。
このデグレードモードでもデータの読み出しは可能ですが、データは崖っぷちにある状態であるため、絶対に放置してはいけません
RAID5で1台故障してデグレードした場合、耐久性としてはJBOD相当になります。したがって、さらに1台でも壊れたらおしまいです。早急にデータのバックアップを取得する必要があります。
RAID6で1台故障した場合は、RAID5相当になります。RAID6で2台故障した場合に、耐久性がJBOD相当になります。
JBODの場合(RAID0も同様ですが)、ディスクが1台でも故障するとすべてのディスク上のデータを喪失するため注意が必要です。個別のデータを復旧することもできません。

RAIDは正しく理解して使いましょう

速度が上がるから、耐久性が上がるからといった程度の生半可な認識でRAIDを構成するのは危険です。正しく理解されずに運用されているRAIDアレイは危険そのものであり、場合によってはデータの損失やビジネスの停止に直結します。
間違った運用でRAIDを破損させた場合、RAID1以外のケースではデータ復旧の難易度が高くなり、結果として高額な復旧料金の出費を強いられることになります。

RAID1は構造が単純であり、単純にミラーを作成しているだけであるため復旧が比較的容易です。これ以外のRAIDに関しては高度な演算処理を要するため、破損時のデータ復旧が困難となります。

まさかいないとは思いますが、RAIDをバックアップと認識している人もいるようです。これに関しても誤りであり、RAIDはディスクの物理的な故障にしか対応できません。人為的なミスによるデータの削除やランサムウェアには対応できないため、別途バックアップやスナップショットでの対応が必要です。